2010年6月27日日曜日

Visionary Institute 2010 World Cafe 第4回 「より良い変容とは?」 参加報告


Visionary Institute 2010 World Cafe第4回にて、初めてグループのリーダー(ホスト)を経験しました。
今回のテーマは、6月21日に行われた伊藤俊治教授の講義に基づくもので、「より良い変容とは?」 そして、その変容を起こすには何が必要か?でした。ここで言う、変容とは伊藤教授のお話で、「心というソフトウェアを大きく変えるのがメディア・アートである」という部分の「大きく変える」が変容(Transformation)だったと思います。さて、ここまで、3回参加して、また、今回リーダーを経験して疑問に思ったことが以下の通りです。
疑問:ワールド・カフェはブレーン・ストーミングか?
全員が意見を言って、その意見を批判しないという考え方はブレーン・ストーミングそのもの。しかし、ワールド・カフェはリーダーひとりを残してメンバーを入れ替えるという点が斬新。
疑問:テーブル・クロスに書かれた未加工のデータは整理して、清書すべきか?
未加工のデータはあとで振り返るときに重要になるのですが、要約として清書されたものは、翌朝配布すべきです。これは次の会話に反映するためで、また、この要約は、当然全員で共有します。
以下は未加工のテーブル・クロスの例。
以下はその清書した例。
最初のグループでの第一ラウンド
話し合いの流れは以下の通りです。
まずは、私たちのグループは「変容」の定義からはじめました。
項目1.変容には心理変容、行動変容が有ると思いますが、私たちは「心の変化」としました。
また、「変容」は結果で、「受容」は受け入れて取り込む。つまり、変容を起こすためのinputがこの質問となります。
項目2.そして、次に「より良い」について話し合いました。
良い心の変化とは:
前向きの心、思いやりの心、お互い様という心
では、悪い心の変化とは:
ネガティブな心
ただし、良い、悪いという基準は不変ではなく環境や時代背景に影響されるという意見がありました。
項目3.「より良く」なるために、そのままの自分で、無理しない範囲での変化としました。
項目4.最後に、「誰にとってより良い」のか。つまり、誰が主体となるのかですが、私たちは、「自分にとって」としました。
つまり、私たちのグループのテーマは「自分にとってより前向きで思いやりの有る心への変化を起こすには何が必要か?」になりました。
心の変化を起こすには、外発的動機付けと、内発的動機付けがありますが、外発的動機付けは、環境、出来事、経験などがあります。
また、内発的動機付けには、自己実現、知的好奇心を満足させるなどがありますが、私たちのグループは両方の面からの発言がありました。
これらを総合すると、私たちのグループのテーマは「自分にとってより前向きで思いやりの有る心への変化を起こすには、どんな外発的、内発的動機付けがありますか?」となります。
従って、私たちのグループの回答は:
外発的動機付け(刺激)という面では:
・自分を表現できる機会、場所
内発的動機付けという面では:
・他人との交流
・宇宙を学んで人の成り立ちを知り、大きな心を持つようになる(個人、個人の違いを尊重するようになる)
・時間(悪い想いででも時間が経てば良い思い出に変わる)
これらの私たちのグループの結論は、結果的に先日の伊藤俊治教授の「意識のイノベーション 未来を予見するアート」のお話と通ずるものでした。メディア・アートの目指すものも関係性の進化、インタラクション、コスモロジーの再生ですから、私たちの会話の中で無意識にこれらが現れたのかもしれません。
他グループで話されたことを加えた第二ラウンド
話し合いの流れは以下の通りです。
項目1関連.1つのグループでは、「変容」について、言葉として「変容」と「変化」とは異なり、
「変容」とは内面が変わった結果、様子が変わること。
「変化」とは外面的な姿、形が変わることであることをまず確認したそうです。
また、別のグループでは「変容」の例として、以下の2つが出てきた。
・人からキリストへ
・さなぎから蝶へ
項目2関連.また別のグループでは、「より良い」という基準は不変とか言う話ではなく個々人の価値観に依存するので、定義できない。
項目3関連.また、別のグループでは、「より良く」なるために、人生観、価値観が、がらっと変わる程度の変化であるとしたそうです。
項目4関連.更に別のグループでは、「誰にとってより良い」のかに関しては、「社会にとって」としたそうです。
これらを総合すると、他グループのテーマは「社会にとって価値観ががらっと変わるほどの心への変化を起こすには、どんな外発的、内発的動機付けがありますか?」となります。
他グループとの交わりでの回答は:
外発的動機付け(刺激)という面では:
・自分を表現できる機会、場所
内発的動機付けという面では:
・他人との交流
同じ価値観の者同士(イノベーションが起きづらい)
色々な価値観の人がバランスしている
1人だけ価値観が異なる者がいる(イノベーションが起きる可能性が高い)
五感を刺激する(一部外発的動機付けに相当する)
・宇宙を学んで人の成り立ちを知り、大きな心を持つようになる(個人、個人の違いを尊重するようになる)
・時間(悪い想いででも時間が経てば良い思い出に変わる)
ここでも、五感を刺激するという部分は、伊藤俊治教授のメディア・アートのお話の「体の感覚、情動、意識、無意識などのセンサーへのコンタクト」に通ずるものだと思います。
次回この結論からさらに踏み込むための、次の質問(下記「ワールド・カフェ」の本を参照)は次のようなものだと思います。
・次のステップに進むにあたって、お互いにどんなサポートができるでしょう?
・未来の状況に対して大きな違いを生み出すために、上記結論に対して今日どんな種をまいたらよいでしょうか?
・発言された様々な意見の背景から、どんなことが聴こえてきますか?
・このようなことで、何があなたにとって重要なのでしょうか?また、なぜあたなはそれを重要と思うのでしょうか?
・このようなことに対するジレンマ/機会は何ですか?
・あなたにとって本当に意味のあることはどんなものがあるのでしょうか?
・ここまでのところで得られた、最も大きな学習や洞察はなんでしたか?
疑問:各ラウンドで、その都度グループの対話の結論を出すのか?
今までの話し合いでは、他のグループでは最初の質問の「単語」の意味についての議論が盛り上がったりして、なかなか先に進まない場面が見られる。例えば、20分という限られた時間でテーマの結論を出すには、リーダーが仕切って合い対立する意見は、どちらかを選択して更に対話を深めるということをしないと結論に達しない。やりっぱなしならそれも良いが、何らかの結論は必要なので、リーダシップが求められると思う。
「ワールド・カフェ - カフェ的会話が未来を創る」アニータ・ブラウン、デイビッド・アイザックス著では、会話のリーダーとして成功するための能力には以下のようなものが含まれると言っています。
・発見を促す環境を作り出すこと
早急に判断することを保留する
背景にある仮説や信念を探求する
・アイデアの間にある、思いがけない結びつきに耳を澄ます
・幅広い考え方に基づいた発言を奨励する
・共有された理解を明確にする
私の場合、いつもの会議の癖で時計を見ながら残り時間を考えて、のめりこみそうな議論はそのままにして結論の出やすい判断に無意識に誘導していたのかもしれません。その結果として、私たちのグループはこのような一応の結論を引き出しましたが、この例のように他グループの話を聞いていると、のめりこみそうな議論をしているところもあったような気がします。
疑問:そもそもワールド・カフェはどのような目的の会議に向いているのか?
「ワールド・カフェ」アニータ・ブラウン、デイビッド・アイザックス著では、緊急の経営課題を解決するようなことを対話のテーマにはしないようです。私が、ワールド・カフェに興味を持ったのはそのような「緊急課題の会議に使ったらどうだろうか」でしたので、ちょっとがっかりしています。この本では、カフェの最善の結果は、重要な課題に関連して問うべき正しい質問を発見したり、自分の状況について初めて他の人々と一緒に考えたり、探求したりする機会をつくることであったりするようです。
疑問:対話中にテーブル・クロスにはどのようにまとめたらよいか?
まだ数回しか経験していないが、マインド・マップ風に書き留めるとチャートで悩まなくて良いので1つの候補。
以下が第一ラウンドの例。
以下が第二ラウンドの例。

テーマが難しかったので良かった?
今回は「良い変容とは?それはどうしたら出来るのか」というテーマで、前回のように次々とそれぞれの思いが語られるという訳にはゆきませんでした。まず、変容っていうのはどういうことかから始まりました。変容は、心の変容を言い、変化というのは外面が変わると捉えていいのではないか。では、良いという変容の基準は、そしてその度合いはどのように判断し、それは誰にとって良い変容なのかと絞り込んでゆきました。そして、ではそれを実現するには何が必要かという具合に対話を深めてゆけました。
他のグループとのメンバー交換後の対話もスムーズ
前回は他のグループとメンバー交換して対話を始めると、全く異なる視点の話が聞けるのですが、今回は他のグループも同じようなブレークダウンがなされたようです。つまり、結末としては同じような価値観の者同士の集団ではイノベーションが起きづらいのではないか。また、色々な価値観の人がいたとしても、バランスしているとやはり、イノベーションは起きないのではないか?つまり、1人だけ価値観が異なる者がいて、その人がパワーを出すことによって起きるのではないかというような流れになってゆきました。
自分にとってのより良い変容とは?
1人だけ価値観が異なるものがいるというのは、グループとして変容してゆくという視点でしたが、個人として変容するにはという対話はどうであったか。自分が前向きに変わってゆくきっかけは何か?自分を表現できる場が見つかったとき、他人との交流の中で自分を生かす方法を見つけたとき、他人から自分で気づかなかった良い点を指摘されたとき、そして、良くないことが起きて悪い変容をとげても、時間が経てば悪いことも忘れて次第に自分を取り戻してゆくというような対話もありました。
良い変容で思い出すこと
私はこのシリーズの第1回に参加するまえに時間がありましたので、推薦図書を読み込んでいました。その1つの「出現する未来」が今回のテーマにヒントを与えました。U運動という少し難解な理論でしたが、イノベーションが起きるには7つのプロセスを行うことが出来る7つの能力が必要ではないかと解いていました。
1. 保留
習慣的な思考の流れから自分自身を切り離すことにより、ありのままの姿が見えてそこから気づきがうまれる。
2. 転換
意識を転換し物事を全体から見る。その鍵は既存の見方を保留するだけではなく、見えているものの背後にある生成過程へと意識を「転換する」能力を磨くことである。
3. 手放す
古いアイデアや固執しようとする心を手放し、第3者的に物事を見て、心の内側から知が浮かび上がる心の奥深くに向う旅にでかける。
4. 受容する
未来から現代を見通し、自己と意思の変容を受容することにより、場が変化し、その場と一体となることにより、状況を形成している「力」に変化が生じる。
5. 結晶化
ビジョンを結晶化してゆく。ビジョンは思想ではなく、源(ソース)とその源にたえずつながる能力からうまれる。
6. プロトタイピング
新しいアイデアを具体化してテストしフィードバックに耳を傾ける。
7. システム化
新たなシステムを自分を通して実現し、大きな世界を共に作ってゆく。
結論としては、出現する未来は自分しだいで決まる。つまり、未来は自分の思うように変えられるということのようです。私もこれを信じたいと思いました。
WorldCafeでの変容
自分の意見に固執せず、他人の意見に耳を澄ませ、感じ取り、まずは受け入れる。参加者全員がそのような行動をとることにより、より多くの意見が出てきます。出揃ったようであれば、皆が共感できるような、もっと深く対話してみたいことを掘り下げてゆきます。これは、会社の会議に見られるような自分の意見を押し通すような、1人だけが話していて、それに賛同する意見しか出てこない場とは異なります。WorldCafeでは異なる意見は歓迎されます。
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2010年6月25日金曜日

Visionary Institute 2010 Seminar 第3回 伊藤俊治氏「意識のイノベーション 未来を予見するアート」 サマリー


2010年6月21日 東京藝術大学先端芸術表現科教授 伊藤俊治氏の講演 「意識のイノベーション - 未来を予見するアート」
当日のお話のサマリーを作ってみました。ただし、お話をお聞きしながら書き起こしたので、聞き違いや、勘違いがあると思いますが、ご容赦ください。

伊藤教授の長いお話を、あえてざっくりとまとめてみました。以下のお話は1時間半の持ち時間の最後の2分程度でお話されたことなので、今日のまとめではないかと思いました。
我々には、自分で気付かないセンサーが多くあり、想像以上に複雑なシステムを持っている。自分という閉鎖系システム(心というソフトウェア)を、体の感覚、情動、意識、無意識などのセンサーへのコンタクトを通じて大きく変えることが出来るのが、メディア・テクノロジーと言える。このメディア・テクノロジーによって、人間が、どこまでそれをコントロール出来るのかがアートとメディアの交差点で行われている。多分、教授がおっしゃりたいのは、すばらしい未来は健全な心をコントロールすることであり、メディア・アートはその重要なパートを担っているということだと思います。
はじめに: 未来を感知し、創造性を掘り起こすために
ジェロール・グレンという未来学者が「Future mind」という本の中で、ポスト情報化社会は“人間の意識とテクノロジーがうまく組合わされてゆく時代”。それが健全な個人の自己認識と社会をつくる基本となると言われた。
アート(ラテン語のアルス)は「芸術」と「技術」という両方の意味。その融合が分断されて、環境問題、都市問題を引き起こしているので、意識とテクノロジーを再統合しなければならない。
メディア・テクノロジーは高密度な情報化社会、高度な資本主義社会に生きる人間の心理、感覚、情動、意識への新しい研究で、アートは未来を予見する役割を果たしてきた。
伊藤教授は20世紀美術の研究をされていたが、1980年末、NTTのICC(Inter Communication Center)の構想、基本設計に参画。
お話の具体的な流れは…
アートの動向を考えるポイント
1 新たな共同創造性
2 関係性の進化
3 コスモロジーの再生
4 内部情報の変容
これらから導き出される
未来創造へのヴィジョン
1 新たな共同創造性
1990年代後半から2000年代に、芸術と科学を結びつける文化機関、施設が次々と生まれる。アートが一人の天才の個人作業から、共同作業を前提とするコンピュータ・インタフェースを作り上げて、他者との交流(ワークショップ、プロジェクト)によって、新たな創造性を作り上げた。コンピュータにより、共有記憶を共感化させることにより共同創造性は、より一層活性化される。新しい流れの始まりは、1990年位にベルリンで誕生したART+COMという共同研究ではないか。これは、アーティスト、映画作家、建築家、デザイナー、科学者、社会学者という色々な専門化が40人~50人位所属していて、プロジェクト毎に学際的なチームを組む方式のメディア・アーティスト集団でした。彼らの特徴は、アンチ・エキスパート・システムを敷いている。それぞれの狭いジャンルに偏向しそうな専門性をコントロールして、互いの専門領域の境界を行き来して、新しい物づくりのプロセスを電子メディアを媒介にして生み出す。
映像例: 三上晴子 / Seiko Mikami「Desire of Codes|欲望のコード」

共同創造性の例で、様々な人が関与して作られた。空間が監視カメラ、映像で生命化され、カメラから得られた個人情報がデータベース(コード)化される高密度な現代社会の様相が空間インスタレーションとして凝縮されて、提示されている。欲望のコードは今月発表されたばかりの作品で。このプロジェクトには、建築家の市川創太さん、東大の広域科学専攻で池上高志さん、アーティストのクワクボリョウタさん、山口のインターラボの人たちとか、様々な人が関与して共同で作り上げた作品。バックミン・スター・フラーという建築家が、専門化することが、なぜいけないのかということについて、生命の種の絶滅は、いきすぎた細分化、分化、専門化にもたらされる統合する能力の欠如が理由と述べている。
2  関係性の進化
言語は知覚を決定し、意識の構造を決定している。ネットワーク社会では、我々の心身を構成している言語構造は崩れ始めている。ネットワークが個人をコントロールしていて、個人がネットワークをコントロールしていると思うのは幻想である。遠く離れた個人の精神がネットワークの中に循環する新たな生命系が存在しなければならない。メディア・アートの世界でも、人工生命の問題が多く表れていたがコミュニケーション・ネットワークをどのように生命化させて、うまく循環させるかという事と深いつながりがあった。
3 コスモロジーの再生
Charlotte Davies は Osmose で、東洋の「瞑想法」や「呼吸法」を取り入れて、メディテーションでの精神状況をこの作品で生み出したかった。この作品はミクロコスモス(自分の身体)とマクロコスモス(宇宙)を全体として関与させ共振させて結び付けている。また、空間の移動により、場の質が変わってゆく(従来と異質な空間に入る)ことを現している。最近放映されたアバターは、シャー・デイビスのOsmoseの影響を受けていると思われる。
映像例: Charlotte Davies «Osmose» 

我々を支えている平衡感覚、呼吸、重心移動などを利用することでデリケートな没入感覚を生み出している

体験者は世界の中の自分を気付く。これを体験するのは東洋の瞑想法と同じような考えである。このシステムでは、息を大きく吸い込むと、空間の中で舞い上がり、息を吐くと、深く沈みこんでゆく。重心を移動して自分の方向を変えたりする。自分の内部感覚をインタフェースにしている事が、この作品のポイント。
4  内部情報の変容
人とコンピュータのインタラクションの三段階
第一段階:テキスト・ベース(例えば、e-mail)。
第二段階:GUIが進化し、テレコミュニケーションと結びつき、遠隔地と簡単に結びつく(例えば、テレビ会議)。
第三段階:言語志向ではなく、3次元、4次元のように没入できる合成空間がネットワーク化される論理的世界にともに集合できる。現在は第一段階と第二段階が共生しているような段階にある。これからの第三段階は体験を共有する世界である。第三段階ではポスト・シンボリック・コミュニケーションの世界である。つまり、ネットワークが整備されると言語的な空間ではなく何千人でも没入できる同じ論理空間に集合できる。第二段階から第三段階へ向かう世界をアートであらわしたものがCAVEと呼ばれるシステム。
映像例: CAVE

共同で製作された第二段階から第三段階へ向かう世界をアートで表した作品。当時では高度な3Dメガネをつけて等身大の人形をインタフェースとして人間に眠っている本能の活性化や原記憶を呼び覚ます人間の身体と記憶術をテーマにしてそれを美学的、哲学的に表現しようとした作品。
未来創造へのヴィジョン
ヒューマン・インタフェースの研究者であるウイリアム・ブリッケンは「心理学や精神分析学は、新しいメディア空間にとっての物理学である」と言った。つまり、物理学は物理的な領域を支配する法則を明らかにするもので、心理学は人間の心の領域を支配する法則を明らかにしようとするものです。メディア・アートの世界で重要なのは人間の心や精神のメカニズムを知ることである。自分という閉鎖系のシステム(心というソフトウェア)を、体の感覚、情動、意識、無意識などへのコンタクトを通じて大きく変えることが出来るのが、メディア・テクノロジーと言える。
人間の心や精神のメカニズムを知るという学問や体系を持っていないというのが現状。コンピュータサイエンスも、このようなことをベースにする必要があると思うが、なかなかそれが出来ていないというのが現実である。

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2010年6月24日木曜日

Visionary Institute - 2010 WorldCafe第4回「未来を予見するアートとは?」の推薦図書を読んで

Visionary Institute 2010 World Cafe 第4回 「より良い変容とは?」の推薦図書で「電子美術論」を読みながらノートにまとめた内容です。

薄羽さんからこの回に伊藤氏の講演のサマリを発表するというご依頼を受けましたので、講演の前に課題図書を読んで、そのサマリをノートに書き留めましたが、難しい!?というのが実感でした。そのときに、薄羽さんの今回のお題は何かなとは思いましたが、素直に今回の案内にあった「時代の先端技術とアートの関係性を通じて、私達の未来と存在を考察・対話します」に沿って、本を見直し準備致しました。そのなぐり書きのノートが以下のとおりです。

WorldCafe 第4回 課題図書 「電子美術論」 伊藤俊治著 NTT出版 1999年3月のまとめ





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2010年6月12日土曜日

Visionary Institute 2010 World Cafe 第3回 「未来を発見するデザイン」 参加報告


Visionary Institute 2010 World Cafe第3回 参加報告。
初対面の人と同じテーマで話し合う
このWorldCafeに参加される方は、六本木ライブラリーメンバーであるということ以外、年齢、性別、仕事、興味など背景がまちまちです。当然、1つのテーマに対しての捉え方が偏るといったことはあまりありませんでした。ただし、時間が15分程度と限られている中で皆さんの発言に対して、皆で掘り下げてゆく時間はありませんので、どなたかの発言に共感できる部分があればそれを肯定しながら、ある時には対話を深めてゆき、また、ある時には別の視点を付け加えてゆくことになります。
対話の効率化と記録
短い時間に多くの意見を出し、かつ、共感できるテーマに話題を深めてゆくにはテーブルクロスの活用が重要だと確信しました。つまり、テーブルクロスは対話の可視化と整理に重要な役割を果たします。今回のWorldCafeではテーブルクロスの使い方や色々な色のマーキングペンの使い方は自由です。話が得意な方、文章でまとめるのが得意な方、絵で表現するのが得意な方など、それぞれの得意な使い方で思い思いに利用するのが良いところです。しかし、もっと有効な使い方があるはずです。同じ思いをされた方もおられたと思います。
マインドマップがしっくりこない
丁度、このWorldCafeの企画が始まる前にマインドマップに興味があり、色々な書籍を読みあさりました。WorldCafeのように色々な意見が出てきて、その中で対話されないまま忘れられる意見もあります。WorldCafeが終わって、残ったテーブルクロスを見ると、個人的にはその意見をもう少し皆さんで対話してみたかったというものもありました。短い時間の中で皆さんの発言を、その場でカテゴリー分けし、整理しておいで目の前で共有できればよいと感じておりました。そこで、マインドマップを活用するともっとよいのではと思い、自分がホストの時には活用したいと考えていて、その後の数回試してみました。
書籍にカラーで載っているマインドマップの例は、綺麗で分かりやすそうなのですが、多分当事者なら何が書かれているのか、何が結論なのかが分かるかもしれませんが、本を読んでいるものにとっては、1単語と1単語の間の動詞の数多くある組み合わせを自分で想定しないといけないので、難解なクロスワードパズルのように感じました。また、似たようなアイデアの整理図法としてアイデアマップがありましたが、これも私の不満である、後で第3者が見て分かるかという要求を満足するものではありませんでした。
マインドマップのルール破りの書き方
テーブルクロスの書き方にこだわっていますが、それは一般の会議のように会議が終わった後に配られる議事録では会議の要点は書かれていますし、いつまでに何を誰が行うということが明確ですが、そこに至る経過が見えません。また、議論している最中はホワイトボードや配られる資料が重要になるのですが、参加者が自由に書くというのではありません。WorldCafeでは、カフェのような雰囲気の中であるテーマに対して思い思いの対話をすることによってハッとする発見や、共感がうまれるという特徴があり、テーブルを囲んで顔をつき合わせて対話する場面では、重要なアイテムとなります。ですから、書くのに時間がかかって対話の進行を中断したり、後で当事者が見ても説明が必要なものよりはという思いがこだわりになりました。そこで、マップを構成する丸の中には単語ではなく、完結した主語、述語、それを掘り下げる分岐の丸にも同じように主語、述語をいれて何回かWorldCafeの中で試しました。結果は、結構テーブルクロスがシンプルで見やすかったと自画自賛しておりますが、気づいた方がおられたかどうかは分かりません。
他のグループでの対話をまとめた文章を見せていただきました。この対話をマインドマップ風に書いてみました。ここ数回、この話題を書いているのはワールド・カフェのやり方を会社の会議に生かそうと思い、その対話のまとめ方について試行錯誤しているわけです。
さて、以下の図が他のグループの対話をまとめたものです。
この図、確かに書いた人にはわかり易く、後日見直しても理解できるものだと思います。私は、常々、マインドマップを紹介した本で、実際に行われたものを見ると、それぞれの枝に書かれる言葉が1語なので、見る人により異なる解釈がなされるのではないかと感じております。
そこで、マインドマップでもアイデアマップでもないのですが、以下の図は、それぞれの枝に書かれていることを理解しやすいように1語ではなく、完結した文章にしました。


テーマへの取り組み方の違い
私たちのテーブルは、最初から今はこうだけど、未来はこのようになりたいという対話がスムーズに出来たように思いますが、初回から第5回くらいは、テーマそのものへの定義で最初の対話を終えるグループがいくつかあるのが見受けられました。確かに、何について話すかをはっきりしておかないと対話の焦点がボケて、結論が出ないという懸念があります。しかし、WorldCafeでは、必ずしも結論を求めているのではなく、一連の対話での一定の共感を得るというのでもよいと思います。今回、私が感じたのは、「発見したい未来」というテーマに対し、未来っていつまで、50年後、100年後、それとも遠い未来という議論(あえて対話ではなく議論という言葉にしました)で時間をつかってしまったところもありました。
薄羽さんへの質問メールとWorldCafe第4回での大役のご依頼
WorldCafeの第1回と第3回に参加させて頂き、いつになく参加することが楽しみになってきて、また更に楽しく参加するために、この企画をされたMCプランニングの薄羽さんに私が抱いた疑問をメールしました。すると大変示唆に富んだ返事を頂き、益々楽しみになりました。このVisionary Institute 2010 WorldCafeはその前に行われるSeminarのお話を御題の題材としているので、そのSeminarに参加出来なかった方のために、各回の最初にはSeminarのサマリがお話されますが、何と、光栄なことに薄羽さんから第4回のWorldCafeの際に第3回のSeminarのサマリを10分程度で話をしてほしいという依頼を受けました。折角の機会ですし、私は昔コンピュータグラフィック関連のプログラマーをしておりましたので、伊藤氏のお話されるテーマには縁があったため、お引き受けさせて頂きました。
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2010年6月1日火曜日

マインドマップとアイデアマップの違いについての考察

マインドマップとアイデアマップの違いについて、「アイデアマップ」の94ページ 図3-1アイデアマッピングの法則を例にとって比べてみました。以下の図はアイデアマップの図3-1です。
この図でピンクで表された線により他のブランチに関連付けられています。これが、マインドマップでは重複するアイデアをどこか1つにまとめるのだと思います。ですから、マインドマップでは中心から書き始めるというアイデアに3色以上でというのがなくなっています。以下が、同じ図をマインドマップであらわしたものです。
以下の図は、マインドマップでもアイデアマップでもなく、上記図の構造を考える上で文章化したものです。マインドマップにしろアイデアマップにしろ、メインブランチのまとめ方が右から左への時計回りで思いつくものを1語であらわしてゆきます。「アイデアマップ」の著者は一般的にメインブランチが、なぜ、このような言葉だったかの理由は分からないそうです。だた、思い浮かんだだけで、思いつくままに書いたりします。順序は後から考えればよいようです。
一回りするメインブランチは5から9本がよいそうです。しかし、その中身は時系列に動作を記述したり、同じカテゴリーでまとめたり、異なるカテゴリだったりまちまちです。わたしは、この例が、末端のブランチから見てくると、「どのように」、「何を」、「どうする」となっているように読み取れますが、これが基本かどうかは分かりません。


では、この図を使って「アイデアマップの法則」について、説明します。アイデアマップは白い紙を用意して紙を横向きに置き、3色以上を使って中心から紙に書き始めます。3色以上で色分けしたり、立体感のある図を使ったり、シンボルを使ったり、ユーモアの有る図を使ったイメージを使います。ブランチには1語で表される語を楷書体で言葉を使います。論理は開放型でメインブランチをあらわし、各ブランチは更に枝を伸ばしてゆく流れ型で表して表現します。
さて、実際のグループ対話で利用するには、聴きながら書き進めなければならないので、熟練が必要です。「アイデアマップ」の第13章リアルタイム・アイデアマッピングでは、対話しながらその場で書き出すという、分類せず、思いつくままなので、あとで整理をしたほうがよいようです。
・推薦書籍のご紹介

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