2011年11月10日木曜日
「金子 みすゞ ふたたび」今野 勉 小学館文庫を読んで
こだまでしょうか
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「ばか」っていうと
「ばか」っていう。
……
東日本大震災のとき、コマーシャルが自粛され、NHK以外の全ての局でACの製作したコマーシャルが何度も何度も流されていました。これがきっかけで金子みすゞの本を買ったわけではありません。
佐治晴夫先生が、講演会で度々その詩を引用されていたので興味があり、紀伊国屋で見かけたので買いました。
先生は宇宙科学者で宇宙を研究され、大学での講義もさることながら、一般の方やお子さんに分かりやすく講義や、今は鈴鹿の地元の新聞に連載をされております。
先生は金子みすゞの話をバチカンでパウロ二世に説明されたという話を講演でされておりました。
そのときに「星とたんぽぽ」という詩を紹介されました。この本ではその続きが書かれていました。
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのやうに、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼に見えぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根は眼に見えぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
この詩は、先生が星は一日中見えているのだけれども、昼間は周りが明るすぎでみづらくなっている。身の回りでも、実際は見えていても見過ごすことがあるということを言われているのだと思います。そのことを、身をもって知るために昼間の天文台を作られました。
この本は、金子みすゞの詩集ではありません。金子みすゞの生い立ちに沿って、その時々に作られた作品を紹介しています。母、海と空の自然、そして子供などがテーマとなっているのは生い立ちと生まれ育った海の近くの環境などが影響されています。
読んでみて、子供のための童謡とはことなり、それぞれが奥が深く、生い立ちに重ねてみると、悲しい詩が多いという印象です。
この本の、最後は以下の詩でしめくくられておりました。
雪
誰も知らない野の果で
青い小鳥が死にました
さむいさむいくれ方に
そのなきがらを埋めよとて
お空は雪を撒きました
ふかくふかく音もなく
人は知らねど人里の
家もおともにたちました
しろいしろい被衣着て
やがてほぼのぼあくる朝
空はみごとに晴れました
あをくあをくうつくしく
小さいきれいなたましひの
神様のお国へゆくみちを
ひろくひろくあけようと
金子 みすゞ記念館のホームページにも愛されている詩が載っております。
金子 みすゞの詩には港の風景や当時の町の様子が描かれております。仙崎という港町に行ってみたいと思いました。
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