2010年11月5日金曜日

Visionary Institute 2010 World Cafe 第8回 「私たちにとって大事な能力とは何か」 参加報告


Visionary Institute 2010 World Cafeの第8回は、高間邦夫氏の”人財のイノベーション”というセミナーを受けて、私たちにとって現在、未来に「大事な能力」とはどのようなことですか?そしてそれを身に付けるためには「何」が大切ですか?について、対話を行いました。
各グループの結論のキーワード以下のようにまとまりました。
Dチーム
1.セルフマネージメント(自信、自律、行動)
Eチーム
1.慮る(おもんぱかる)
2.自己愛
3.生命観
Cチーム
1.勇気
2.陽気(ポジティブ)
3.変化対応力
Aチーム
1.喜怒哀楽
2.察する力
Bチーム
1.知らない人と話す力
2.勇気
各グループのまとめを図式化してみました。

では、以下が各グループの対話の記録となります。
Aチーム(発表:潮木さん)
1.喜怒哀楽
・楽しさばかりでは変化に気づけない。外的な変化がなければその状態にいることに気づけないのではないか。
2.察する力
・相手と自分が違うものであることを受け入れて対話をすれば違いを恐れることはない。そういうことを経験してゆけば察する力を身に付けられるのではないか。
第3者から完成したテーブルクロスを見た感想:
全体的には「大事な能力」とはコミュニケーションであり、コミュニケーションするためには「何」が必要かというと、自己の確立と他者を思いやるような総合的な人間力を高める必要があるということで、それを喜怒哀楽、察する力に代表させてまとめられた点ではこのグループの共通認識が編集された良いキーワード選びだと思います。そういえば、最近、自分の感受性が低くなってきて、感動したということが少なくなったような気がするので、仕事を離れてワールドカフェに参加すると言うのは有益だと、あらためて気づきました。
他花受粉(他のグループメンバーが来て意見が交わる)という観点からみると、他花受粉によりコミュニケーションの中身が充実してきたように見えます。しかし、書記が3人くらいいて同じ事を書いているので、Bチームもそうですけど、1人が書記でその他の人は対話に集中したほうが良いのではと思います。
AチームのテーブルクロスをMAPにまとめると、こんな具合? 

Bチーム
1.知らない人と話す力
・コミュニケーション能力と言う言葉がビジネス的に見るとあまりいい意味で使われてはいない。つまり、上司が言うことを部下が理解できないときに、上司が部下のことをコミュニケーション能力がないから理解できないというように使われているのではないか。ですから、コミュニケーション能力と言わずに、知らない人と話す能力と言わせてもらいます。
・自ら強い力がないと知らない人と話すことができない
・強い力を出すためには自分で自分を判断する力が必要
2.勇気
・知らない人と話すには非常に勇気が必要である
・人と話すときにあえてバランスを崩すことによって差異を読み、受容があって相手と高めあってゆく変容してゆく
第3者から完成したテーブルクロスを見た感想:
自分のチームなので、最初からの流れが分かっているので、あらためて見直すと、最初に話された「コミュニケーションが重要で」、そのためには「自分で考える力が必要」であり、議論する際には「あえて反対意見を言ってバランスを崩すと良い結果が期待できる」というところまで話し合ったところまでで、別のグループに行って帰ってきた印象は、この流れのまま、それを補足するように「相手をおもんぱかる」とか、「知らない人と話をするには勇気がいる」とかが加わったので、他花受粉としては少し物足りなかった。
BチームのテーブルクロスをMAPにまとめると、こんな具合? 

Cチーム
1.勇気
・生産的に相手とけんかしてとディスカッション
・相手のところに飛び込んでゆくような勇気
2.陽気(ポジティブ)
・コミュニケーション能力、挨拶
・コミュニケーションには相手も自分もお互いに重要である
・自分がポジティブ(陽気)
3.変化対応力
・今、自分がどこにいるのかを自分で考える力
・変化に勇気をもって飛び込んでゆく
第3者から完成したテーブルクロスを見た感想:
基本的には人と人のつながりという観点から、話し合いのための勇気、その場への適応力やかかわるための勇気などからスタートしたように見えます。他花受粉においても、それを補完するように、情熱、陽気、洞察力、話し合いを実りあるものにするための生産的な喧嘩といった話題が加わったようです。
しかし、Aチーム同様、3人が書記のようで同じ事を書いています。書記は一人で、ほかの人は対話に集中したほうが良いのでは?
CチームのテーブルクロスをMAPにまとめると、こんな具合?

Dチーム(発表:青柳さん)
1.セルフマネージメント(自信、自律、行動)
・セルフマネージメントとは自信を持って、自律的に、責任のある行動をマネージメントする
・自分で考える能力
・共感し、人とつながる能力、また、それを動的な関係性にもってゆく力
第3者から完成したテーブルクロスを見た感想:
このグループは「能力とは」からスタートしたように見えます。そして、「能力にはどんなものがあるのか」そしてその能力が将来に対してどのように役立つのか。他花受粉では他のグループでのキーワード、コミュニケーション、喜怒哀楽、受容する能力、自分で考える力、挨拶などが加わったのですが、そのためには自分がしっかりしている必要があると結論付けて、キーワードとしてはセルフマネージメントになったのは、発表者の思いが自律にあったのだと理解できます。
DチームのテーブルクロスをMAPにまとめると、こんな具合?

Eチーム(発表:石橋さん)
1.慮る(おもんぱかる)
2.自己愛
3.生命観(宇宙観)
大事な能力はコミュニケーション能力で、知らない人と話す能力であり、その中で言葉、相手を慮り、相手との距離感を確かめ、そして届ける。
思いの距離感や時愛き(ときめき)を共有する場が重要であるが、未来を見る動的な反応が重要ではないか。
その前提として相手を信じることが大事である。なぜ自己愛かと言うと自分の喜怒哀楽をよく理解していることが大事である。相手と自分、もっと言えば地球の上にいる二人、更に言えば地球は天体の中にある星にすぎないという宇宙観を理解すれば相手がどうのこうのというエゴを抑えることができて(共通善)、真に分かり合えるのではと思いました。
第3者から完成したテーブルクロスを見た感想:
ここのグループも人と人とのコミュニケーションを成功させるためには自分を大事にし、相手も尊重しておもんぱかるという点では、他のグループと同じような議論であったかと思われます。私は、後で自分なりにテーマを考え直したときに、国際社会での日本人という観点からの対話がなかったように思います。この軸は絶対必要だと思いました。そういう観点で見直してみて、このグループの壮大な地球、宇宙観はすばらしいと思いますが、対話の記録には宇宙の宇の字も出てきていないので、これは発表者の日頃の思いが言わせた言葉ではないかと感じました。
発表者の石橋さんより以下のようなメッセージを頂きました:
いつも詳細な記事に感服いたします。Eチームの「このグループの壮大な地球、宇宙観はすばらしいと思いますが、対話の記録には宇宙の宇の字も出てきていないので、これは発表者の日頃の思いが言わせた言葉ではないかと感じました。 」というご指摘ありがとうございます。

ペーパーの「ONENESS」の下にある円が宇宙観に関するダイアローグの部分です。右側に描いてある人間2人のイラストから、地球→星々→宇宙と話が発展しました。

自己愛の話題で、「自分」を感じとり自己を認識することが他者の存在を認める...ことになるという話から、自己と他者(相手)という関係性に加えて、さらにそれらを包括する場(地球→星々→宇宙)の認識が大切なのではないか。そのことによって、その認識がお互いを共通のものとして認め合い、相互理解につながるのでは。そのような能力が私たちに必要では?生命観や宇宙観を理解することが大事では?といったような流れで話が進みました。

たしかにご指摘いただいた通り、私の日頃の思いも含まれています。記録の不十分さとファシリテーション役に徹することができなかった部分を反省し、今後に努めたいと思います。ありがとうございます。
EチームのテーブルクロスをMAPにまとめると、こんな具合?

ワールドカフェに回を重ねて参加してきて思うことは、ワールドカフェが色々な意見を自由に言い易い場であって、まずはそれらの意見を受け入れて、更にその場が移動することによりまた別の意見とめぐり合って刺激を受けていくうちに、自分の意見も変容してゆく過程が短時間の間に経験できるすばらしい場であるということです。そして、最初から気になっていたことに最近気づいてきたのですが、このブレーンストーミングのようなあまりまとまっていない多くの意見を編集して発表することが、いかに重要な編集の訓練につながっているかということです。ですから、いつも同じ方がまとめ役になるのではなく、より多くの方がこの経験をされることがその人の財産になると確信しています。一方、自分のグループの対話を発表者がどのように編集するのかを聞いているのも楽しみ方の一つであると思います。
今回、特徴的だと思ったのは今までとは違い他花受粉が同種の花粉が交じり合ったという感じで、よく言えば話し合いが深まったと言えますし、悪く言えば、刺激が少なかったとも言えます。自分の考えたようなことがどのチームでも話されていて、それがこのテーマ及び、日本人の考え方を象徴しているのかも知れません。
Visionary Institute 2010 World Cafeもあと2回となってしまうのがさびしいのですが、次回は的川泰宣先生の飛翔のイノベーション(未来を開発する宇宙探索)。そして12月には佐治晴夫先生の創生のイノベーション(未来に継承するリベラルアーツ)が行われます。
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