Visionary Institute 2010 World Cafeのシリーズに参加して、ワールド・カフェには興味を持っていましたので、私が最初に読んだ「ワールド・カフェ カフェ的会話が未来を創る アニータ・ブラウン&デイビッド・アイザックス著 株式会社ヒューマンバリュー」とは違う日本人の書いた本はないかと探して、この本を見つけました。
主な内容としては
・ワールド・カフェ独特のリラックスした雰囲気の中で生まれてくる発見について
・ワールド・カフェの進め方、準備の仕方、終わったあとのまとめ方
・ワールド・カフェの日本での事例
・ワールド・カフェが拓く新たな可能性
などでした。
すでにVisionary Institute 2010というシリーズで何度も繰り返しワールド・カフェを体験したものとしては物足りない紹介本でした。というのは、方法論が中心でやってみてのノウハウがとして書かれている部分が当然といえば当然のお話でした。
特にがっかりしたのが、ワールド・カフェの様々な事例として10例ほどありましたが、すべて上っ面の説明でした。これはその成果はそれぞれの団体の大切な内容ですから、そこには言及していませんでした。つまり、このようなテーマで話し合われてどのような結論になったかをテーブルクロスを見えるような形で提示することが、より具体的になるほどと思わせるのですが、それは企業秘密の部分があり、出せないのは分かっているので、このような紹介は不要だと感じました。
それよりは、著者は実際にワールド・カフェを教えたりしているわけですから、そこでの成果は自分達の例なので、そのようなものをもっと分析して、その成果を提示するほうが、より説得力があり、役に立つものではないかと思います。
この本で重要なのは第6章のワールド・カフェを成功するための留意点でしょう。
1つは、ワールドカフェの良い点は限られた時間の中で、皆が自由に対話(ダイアログ)することですが、自分の考えを一方的に押し付けようとしたり、どちらが正しいかを議論したりしてはいけないわけです。このダイアログについては著者の出された本が紹介されておりましたが、私は「ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ」デヴィッド・ボーム著 英治出版刊の本がお推めです。
2つ目は、ワールド・カフェにはテーマがあるわけですから、もし、一般のワールド・カフェに参加する場合は、とりあえずどんなものかではなく、関心を持って、しかも、自分なりの考えを持って参加すべきです。ふらっと参加して有意義だったというのは、稀だと思います。
3つ目は、会議でもワールド・カフェでもそうですが、やりっぱなしではいけません。振り返りが大事です。私はこのVisionary Institute 2010 World Cafeの参加を通じて、そこで毎回学んできたこと、疑問に思ったことを忘れずに、更に進化させてゆくことこそ、重要であると考えておりますが、この本でも「過去に経験をしたことのない新しい出来事や考え方に接すると、ただちにそれを受け入れることが出来ません。最初は無視しようとするのですが、やはり気になってきて、それと向き合おうとすると、強い違和感が生じ、頭の中に混乱を生じます。しかし、そうした混乱は、新しいアイデアを生み出すエネルギーの源泉になります」と書かれています。
Visionary Institute 2010 Seminar/World Cafeは、その成果を書籍にまとめると、これを企画、運営された薄羽美江さんが言われていたので、それが出来るのを楽しみにしております。
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