2011年2月27日日曜日

「女性を宇宙は最初に作った」佐治晴夫著 を読んで


全体を読む前に、この「女性を宇宙は最初に作った」というインパクトのある書名がどこから来ているのか、また、どういう根拠で言われているのかを知りたいと思っていたので、全体をざっと流し読みをして、その部分に集中して探しました。
以下が、その論点です。
旧約聖書では、女性は男性のあばら骨から作られたと言っています。
しかし、宇宙の創生から地球が誕生し、地球上に生命が誕生してからの10億年は、すべての生物は単一の性で、あらゆるものがメスだったということが分かっているそうです。その後の進化で、人間は受精から出産までの40週の最初の6週間目までは女性として成長し、7週目に入ったところで男性となるチャンスがあるそうですが、それを逃すと女性として成長して産まれてくるそうです。
このようなことから、「女性を宇宙は最初に作った」ということになるそうです。また、私もこの題名から女性礼賛の内容かと思いながら本を開きましたが、そうではなく男女が平等に補い合うという立場から書かれたと「おわりに」に書かれていました。
また、先生は色々な本を書かれていますが、この本は東京のカフェの要望で「女性のための宇宙講座」を開講して、それが予想以上に好評だったので本書ができることとなり、そのテーマにちなんで本書の題名になったそうです。
これで、書名の由来が分かったので、安心して最初から要点を読み解いてゆきたいと思います。
以上、2011年2月27日 記
今回は本を読むのではなく、この本を紐解いてみようと思います。
佐治先生の本やお話はリベラルアーツを体現されているもので、物理、科学を芸術、文学、音楽などと結び付けておられるので、趣旨を汲んで読んだほうがよいのは分かっているのですが、私の性格として分析的になってしまうので、以下の視点で冷静に見てみます。
導入の話題
展開、想起されるもの
物理学的解説
1.人はなぜ「月」を愛でるのか
月の人を感動させると美しさと月を科学的に見るという両面から月の神秘を紐解いています。
★同じ月を見ながら心を通わす
導入の話題
疎開先での、月夜に海岸線に打ち寄せる波頭のきらめきに感動
展開、想起されるもの
人は月を愛でる
芭蕉の句(月の友)
物理学的解説
月の光と屈折について解説しています
★月の神秘に迫る
導入の話題
幼少の頃に望遠鏡で初めて月を見たときの衝撃
物理学的解説
アポロ計画の成果
日本の月周回探査機<かぐや>
展開、想起されるもの
月の生い立ちから地球、人間の生い立ちを問いかける
★「月の出」と「星の出」
導入の話題
地球に一番近い天体、月
展開、想起されるもの
薬師如来、日光菩薩、月光菩薩   
万葉集と天の川
物理学的解説
月の大きさ、重さ、地球からの距離
「月の出」の時間が少しずつ変わる
「星の出」が季節により変わる
★月の呼び名と心の機微
導入の話題
月が地球を公転していることで、地球、月、太陽の位置関係
展開、想起されるもの
源氏物語、良寛の歌など日本の文学や詩歌と月のかかわり
物理学的解説
月の公転周期と地球の自転と公転
満月、月食、新月、三日月、十三夜、宵待、十五夜、立待
★月がなければ音楽はなかった
導入の話題
月は毎年3センチずつ、地球から離れている
展開、想起されるもの
月がなくて自転速度が今の3倍だとハリケーン以上の風で音楽などではない
私達は変転する宇宙の歴史の中で一番いい時期に生きているかも
物理学的解説
ニュートンの運動の第一法則
地球の四季は地球の自転軸が傾いていて月が傾きを安定させている
★天体衝突の驚異
導入の話題
望遠鏡で見る月の素顔(クレーター)は神秘的な造形美そのもの
展開、想起されるもの
クレーターの成因についての諸説の移り変わり
物理学的解説
月は地球に衝突した隕石の破片が地球の周りに飛び散ったものが固まった
地球も隕石の衝突の可能性が在り、実際その可能性がある
★明暗もたらす地球への衝突
導入の話題
ここ数年、星空での新しい発見が続いている
展開、想起されるもの
月探査機<かぐや>が撮影した感動的な「地球の出」

物理学的解説
土星の衛星エンケラドスに液体の水があるらしい
ホームズ彗星の大バースト現象
彗星や小惑星は命の故郷
宇宙の気まぐれは、宇宙や私たちを知る上での貴重な”学びの場”
★月の満ち欠けは命の連鎖
導入の話題
天体という球体が空中に浮いているのは不思議ですね
展開、想起されるもの
日本の伝説では月の様子はウサギが餅つき
中国の伝説では月の様子は不老長寿の薬を作っている情景
月にはかぐや姫などの女神がすんでいると考えられていた
フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語などで月は女性名詞
フランスの詩人、ボードレール著、「パリの憂鬱」という詩集を紹介
物理学的解説
太陽が地球の真後ろにして前方にできた地球の影に月がすっぽり入るのが皆既月食
以上、2011年3月20日 記
2.「時間」とは何か
時間とは私たちの人生そのもの
★「今日の終わり」はいつか
導入の話題
夜の11時59分59.999999秒のように0.999999のように9が限りなく続いても0時0分0秒にはならない。だから今日の終わりは存在しない。
展開、想起されるもの
ドイツの数学者、デデキントが実数の連続性を発見した
物理学的解説
夜の11時59分59.999999秒のように0.999999のように9が限りなく続けばそれが1
★すべては太陽から
導入の話題
キリスト教神学者のA・アウグスティヌスが時間とは自明だと思っても、いざ聞かれると答えられないと言っている
展開、想起されるもの
古代ギリシャ時代の哲学者、ヘラクレイトスは「万物流転」といい、平家物語でも「祇園精舎の鐘の音、…」
物理学的解説
地球の自転と、地球と太陽との位置関係は少なくとも同じ時期はいつの年でも同じ
★ほんとうに正確な「時」とは
導入の話題
月の出の時刻は大きく変化しますが、それよりも満ち欠けがありおよそ29.5日を周期とする
展開、想起されるもの
月日と季節のずれを克服するために「二十四節気」が考えられた
物理学的解説
今、最も正確だとされているのは、原子時計で原子の固有振動を使ったもの
★物理的な時間には過去と未来の区別はない?
導入の話題
時間そのものには、過去、未来などに対しての絶対的な意味はない
展開、想起されるもの
「物理的な時間には過去と未来の区別はない」ということなのでしょうか?
物理学的解説
私たちが認識できる世界とは必然的に「膨張している宇宙」だけだ。
★楽しい時間はなぜ速いのか
導入の話題
10歳の子供に対しての1年間は生涯の1/10ですが、50歳の大人に対してはそれまでの生涯の1/50にすぎない
展開、想起されるもの
男性はせっかち、で女性はおっとりしている
物理学的解説
おそらく生物学的な性差が関与しているのでしょうが、女性は自然に経過する時間に対しては寛容である
★宇宙は「5次元」の世界の時空
導入の話題
時間と宇宙は深いつながりがあって、宇宙の誕生こそが、時間の始まりだともいえます。
展開、想起されるもの
私たちが普段、体験している空間は、縦、横、高さを想定しています
物理学的解説
私たちの3次元世界に一番近いのが4次元空間で、ここに過去から未来へと流れるという時間を加えるとつじつまが合う
★「トンネル」の先にあるもの
導入の話題
私たちの人生も、トンネルをくぐっては抜け、抜けてはくぐりながら新しい駅に到達する列車に似ているような気がします
展開、想起されるもの
トンネルといえば川端康成の小説で「国境のトンネルを抜けると雪国であった」。トンネルは別世界への架け橋
物理学的解説
科学の世界でもトンネルの先はブラックホール、ホワイトホールであり、宇宙の全ての根源はトンネルの先にあるような気がする
以上、2011年4月29日 記

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2011年2月1日火曜日

二十世紀の忘れもの トワイライトの誘惑 佐治晴夫+松岡正剛 を読んで

「二十世紀の忘もの」と題したこの本は、二十世紀の最後の2年にあたる1999年1月に出版されました。この本は薄羽美江さんの企画された「匙塾」というサロンでの佐治晴夫氏と松岡正剛氏の対話を記録したものです。

佐治晴夫氏はまえがきで、「世の中の関心が巨大なものへと向かっているいま、”小さなもの” ”かすかなもの”へ関心を向けてみてはどうだろう。それは、みずからを生み出した宇宙への思いをみずからの魂の中に思い描いてみることだと言ってもよい」とかかれておりました。

また、松岡正剛氏は、あとがきで「二十世紀はデキのよいものばかりを発明し、また大胆な開発をしてきたが、それを存分に理解させることは怠ったように思う…。次の時代には再編集が迫られることになるのだろう。また、そのときは二十世紀だけを編集するのではなくて、歴史そのものの再編集が大きな課題になるだろうと思われる」とまとめられておりました。そんなお二人の思いを抱きつつ本文を読みはじめたいと思います。

これからのまとめ方としては、文章の中で私が気になったキーワード、センテンスをマップにします。ですから、この本に対する私の感想ではなく、私の感じたマップを対談、講義毎にまとめました。
この方法で、まずは目次から見てゆきます。

ここまで、2011年1月31日 記
第1章 夢の呼吸
【対談】トワイライトの誘惑

ここまで、2011年2月3日 記
第2章 青の記憶
【対談】月夜の虹

ここまで、2011年2月4日 記
第3章 時の芳香
【講義】小さきものの消息 松岡正剛
ここまで、2011年2月6日 記
     【講義】生と死の共存 佐治晴夫
ここまで、2011年2月8日 記
     【対談】「実在」と「非実在」の間に
ここまで、2011年2月10日 記
第4章 空の破片
【講義】宇宙の由来と将来 佐治晴夫
宇宙の誕生と将来についてマップは先生のお話が分かり易くまとまったと思います。
ここまで、2011年2月11日(誕生日。心身ともに丈夫に産んでくれた母に感謝) 記
     【講義】生命の由来と将来 松岡正剛
ここまで、2011年2月12日 記
     【対談】心と宇宙のミラーリング
ここまで、2011年2月19日 記
第5章 種の郷愁
【講義】生命から意識へ 松岡正剛
ここまで、2011年2月19日 記
     【講義】宇宙から意識へ 佐治晴夫
ここまで、2011年2月19日 記
     【対談】香ばしい失望
ここまで、2011年2月19日 記
第6章 月の遊技
【対談】二十世紀の忘れもの
以上、2011年2月20日 未明記 未完成のまま終了